何も考えずしかし瞼は開いたままに。ぼんやりと、ややはっきりと、前にあるものを捉えては視覚で呼吸をくりかえす。
出して入れて。それは鳥だったか、電柱だったか、人だったか、 文字や言葉になる前に残された物体の陰が黒い線になって頭に焼き付いている。 全ては0の状態に。マイナスにもプラスにも振れずただただ身体のギヤはNに入ったままなのだ。